MESSAGE

互いの価値観を共有し、
地域に融和する
神奈川県No.1不動産グループへ

(右)ウスイホームホールディングス株式会社
代表取締役社長 木部 浩一

(左)株式会社ハートグループホールディングス
代表取締役社長 島崎 亮

神奈川を拠点にするウスイグループとハートグループをワンチームにするため、イエリスタホールディングスが設立された。
2社の事業提携によって、これまで各社が持っていたどのような課題を解決することが期待され、どのようなシナジー効果が創出されるのか。
木部浩一(ウスイホームホールディングス代表取締役社長)と島崎 亮(ハートグループホールディングス代表取締役社長)に聞く。

地域に根ざし、「住まいの和をつくる」不動産グループとして

イエリスタホールディングスが2024年4月1日に発足した。各社の沿革と事業の特長は?

木部

1976年に創業したウスイホームを基盤にするウスイグループは、2024年に創業48年を迎えます。もともと創業者の生業は床屋だったのですが、持ち家だったアパートの1室を紹介したことがきっかけで、賃貸仲介をスタートすることになったという逸話があります。その後、賃貸だけでなく、売買仲介、建築、リフォーム、賃貸の管理、保険業務など業態の幅を広げていきました。最近では、高齢者支援事業や保育事業へも展開しています。これは、お客様へのサービスの向上という目的はもちろんのこと、我々が社会に対してできることは何かと追求し、社会貢献を担う企業であるべきだという強い思いによって参入した事業です。このようにウスイグループでは、住まいから暮らしに至るまでワンストップのサービスを提供できる仕組みが整っていることが大きな強みです。

島崎

1997年に創業したハートグループは、先代の社長が辻堂の商店街で不動産仲介業をスタートし、その後、現在も本社を構える茅ヶ崎へ移転しました。仲介事業と住宅分譲事業に取り組むなかで、取引のあった工務店の方達と注文住宅などを手がける建築部門を設立し、建築事業の実績を積み上げていったことが特徴のひとつです。分譲・建築・仲介という3本柱による現在の事業形態となりました。

両社に共通する価値観とは?

木部

お互いに「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)の姿勢で事業に取り組み続けきたことは、大きく共有できる価値観です。我々にとって、もちろん利益は大事ですが、大事なことは利益だけではないということ。もともと従業員には「正しく儲ける」ことを伝えており、お客様に理解して満足していただけるお取引を大切にこれまでも歩んできましたが、今後も人と街をつなぎ、「住まいの和」を生み出す企業でありたいと考えています。

島崎

事業を行うには、お客様をはじめ、自治体や関連事業者の方々との関係性が極めて重要です。自分たちだけの好業績を求めれば良いのではなく、関わる皆さんが同様に利益を共有できるような企業でありたいと考えていることは、両社に大きく共通する思想です。ハートグループの先代社長は、「私たちが地元企業の皆さんの仕事も創出していくのだ」というメッセージを常に発信していました。お客様に喜んでいただけることが、我々の取引業者さんをも支え、そういった意識を持って仕事に取り組むことが大事だという思いを受け継いでいる企業ですから、木部社長のメッセージには強く共感するところです。

これまでに達成した主な業績は?

木部

ウスイグループは、横須賀、横浜、湘南エリアを主な商圏として、常に社会的な意義があるかどうかを重要な指標とし、これまで発展してきました。2009年に私が社長に就任した際に従業員へ伝えたのは「100億円企業になりたい」ということでした。当時の売り上げは40億円ほどだったのですが、達成するために分社化をはじめ様々なことに取り組み、2018年には100億円企業へ、さらに現在130億円超の売り上げを立てる企業となりました。従業員一人ひとりが頑張ってくれた結果が今につながっているのだと思います。

島崎

私たちが本拠とする茅ヶ崎はそれほど大きな街ではありませんが、湘南らしいイメージや雰囲気といった独自のカルチャーが根付いていますので、様々なお客様のニーズをもとに住宅をつくり、茅ヶ崎から発信していくことを非常に大切にしています。そのようにして、茅ヶ崎を中心に、藤沢、平塚エリアまで、 分譲・建築・仲介の事業を展開してきました。地域の人々に寄り添いながら展開してきた取り組みの成果は、お客様や取引先である不動産業者さんからの「湘南エリアで家を買うなら、ハートグループだね」という声に表れているのではないかと思います。

ホールディングス化によりシナジーを創出。神奈川県全域におけるNo.1不動産グループへ

事業が成長拡大する一方で、両社それぞれにどのような課題があったか?

木部

我々は、横須賀をはじめとする三浦半島が発祥地ということもあり、三浦半島では「ウスイ」と言えば誰もがわかる圧倒的なシェアを持つ不動産業者です。一方で、三浦半島の外へ商圏を拡大し、横須賀以外の事業所数が増えてきた現況において、湘南あるいは横浜方面では、出店歴の浅い店舗の知名度を浸透させることが課題として挙げられます。今後も新規出店を継続するなかで、神奈川県全体にウスイグループの名を定着させていくために、イエリスタホールディングスとして島崎社長とともに、互いの事業を補強し合いながら展開していきたいと考えています。

島崎

ハートグループに限った話ではないのですが、建設業界において総体的に人材不足問題が顕著です。ハートグループでも、住宅を建てたいというお客様のご要望を多くいただいているなかで、物理的に人手が足りていないことが挙げられます。さらに、働き方改革による2024年問題がもたらす物流の影響や、昨今の物価高や資材高騰の影響もあり、注文住宅をはじめ分譲事業においても、結果的に売価へ転嫁せざるを得なくなってしまう現状があり、人材不足と合わせて大きなテーマであると考えています。

現在の不動産・住宅業界全体はどのような問題を抱えているか?

木部

近年、人口減少と少子高齢化による空き家問題がクローズアップされています。今後も増加すると言われていますが、空き家問題の解決は大きな課題である一方で、我々のビジネスチャンスでもあると捉えています。また、担い手不足の解消もやはり大きな課題です。建設・不動産業界では、営業担当者のほか大工をはじめとする職人が減り、さらに、少子化の影響が大きいものの、建設・不動産業界を目指す若者が減少しているという実感を持っています。加えて、それらの原因のひとつとも捉えることができますが、経験や勘に頼ることの多い業界であるため、他の業界と比較するとDX化がかなり遅れていると感じます。人材が潤沢ではない現状において生産性を向上させるためには、DX化を進めていくことが不可欠です。

島崎

私自身も長く携わってきた営業職の話で言えば、お客様の感覚的な部分を数値化することが非常に難しいと感じてきました。お客様それぞれの思いがあり、ご提案の仕方ひとつとっても、定型文をもって解決できるものではありません。そのため、どうしても一人ひとりのスキルに依拠する面が大きくなってしまいます。しかし今後は、そのスキルをどのように社内で継承できるのか、感覚値をどれだけ「見える化」できるのかということが求められるでしょう。若い人たちに我々の仕事に興味を持っていただくためにも、私たち自身が働きやすい環境を整備し、仕事で得られる喜びや生きがいというものをより明確に示していく必要があります。そのためには、スムーズに連携を図ることができるわかりやすいツールの作成や開発も重要だと考えています。

ホールディングス化によって、期待できるシナジーとは?

木部

ひとつは商圏の拡大です。互いの特長をより強化し合い、弱点を補い合うことで、それぞれの主力エリアから神奈川県全体への商圏拡大を明確な指標として設定できることが、大きなポイントだと考えています。例えば今後、ウスイグループのCS部門がハートグループさんのお客様にサービスをご提供する取り組みを行う予定ですが、勉強会や交流会を通じて両社の絆を深めることも大切に、お客様へのサービスや生産性の向上をともに強化していきたいと考えています。そのようにしてシナジーが積み重なっていくと期待しています。

島崎

まずは、既存の商圏エリアである湘南から三浦半島を含む神奈川県のコーストラインにおける不動産グループ企業として圧倒的な力をつけ、業績を上げていくことが大きなテーマであり、今後は神奈川県の北側への進出を強化していきたいと考えています。我々は今まで住宅を購入していただいたお客様へのサービスが十分にできていなかったことやリフォーム事業を手がけていない側面があるので、それらをウスイグループさんに担っていただき、反対に、建築が強いハートグループが注文住宅のオファーをお受けするなど、両社の良さを活かしてお客様へより品質のよい商品とサービスをお届けしていきたいです。そのようなシナジー効果によって、神奈川県全域におけるNo.1不動産グループへと成長できることを期待しています。No.1というのは、取引件数など定量的な数値においても、定性評価においてもですが、「頼んでよかった」とお客様に喜んでいただける企業体となることです。

住まう人の視点に寄り添いながら、地域コミュニティを築いていく

地域に根ざした企業であることを重視する両社だが、地域の人々の暮らしとどのように関わってきたか?

木部

一例ではありますが、地域貢献の一環として、子どもとともに参加できる地引き網大会のイベントをはじめとするボランティア活動や、水泳大会や高齢者向けのゲートボール大会の協賛などスポーツ振興にも力を入れています。我々が手がける商品=住宅・不動産ではありますが、商品を開発するうえで、お客様との絆を築き深めていく取り組みを中心に行うことが重要だと考えています。実際に、お客様と数世代に渡ってお取引ができる関係性を築いており、住まいや暮らしに関することはウスイホームに相談いただければなんでも解決できるということが、ストロングポイントだと自負しています。

島崎

ハートグループでは、例えば土地の分譲事業のなかで、道路を敷設する際に行政からオーダーをいただき、要望に沿ったかたちで街づくりに携わっていることなどが挙げられます。また、「湘南スタイル」の高品質な住宅を提供できることが強みですから、他社とは異なる独自のアプローチで、住まう人の視点を柔軟に汲み取りながら、街づくりに貢献してきました。

少子高齢化、空き家、環境問題、人々のライフスタイルの多様化など社会が大きく変化するなかで、今後の不動産・住宅業界の在り方とは?

木部

ウスイグループでは、売り上げNo.1ではなく、地域密着No.1企業を目指し、「人・街・地域とともに」という独自のコーポレートメッセージを設けていますが、不動産業界全体における諸問題に正面から取り組み、我々が主導してお客様とともに様々な地域コミュニティを築いていくことが重要だと強く信じています。

島崎

昨今の市場の動きを観察すると、商品および顧客層に関しても、高価格帯かそうでないないものという二極化がより顕著になっている印象があります。その中で、中間層に対しての発信をより強くしていくことが大事かと。地域を活性化させて市場をアピールすることもそうですが、やはり提供商品とサービスの質を上げていくことが不可欠です。社内一人ひとりのスキル向上に積極的に取り組むことが、業界のなかでしっかりと存在価値を示す一歩になるのではないかと思います。また、各地域に存在する様々な問題に関しては、業界自体の問題であると捉え、解決へ向けて事業に取り組むことが求められると考えています。

地域に愛着を持ち、人々と関わり合いながらともに成長できる人材を

今後、ともに働く人材に求めることは?

木部

基本的には、成長・独立志向を持っている人がいいですね。例えば、いつかは独立して会社を持ちたいという意志を持っていたり、実際に身体を動かしてチャレンジしていったりと、積極的に行動できる人を求めています。優等生でなくていいですし、もちろん失敗してもいいのです。しかし、その失敗を財産にできることが大事です。また現に、私がともに働いてきた社員のうち十名以上が独立し、同じ商圏で仕事をしているのですが、彼らの独立を「支店がひとつ増えた」と捉え、その後も協力し合う関係性を築いています。そのように、働く環境に好循環を創出している企業だと思います。

島崎

横浜、鎌倉、茅ヶ崎周辺は常に住みたい街の上位にランキングしている人気のエリアです。自身がその土地で実際に経験して得たものがないと、なかなか人にはその思いを伝えられないものですが、多くの魅力を持つ地域に寄り添った企業であるからこそ、働く一人ひとりが地元を好きであってほしいと思います。また、社員にはいつも「仲間を大切にすること」を伝えているように、支えてくれる人や関わる人に感謝して仕事に取り組む姿勢を大事にしています。そのような思いを理解して賛同してくださる人材はとても望ましいです。

ウスイホームホールディングス
株式会社
代表取締役社長 木部 浩一
神奈川県横須賀市出身。オートバイ販売会社を経て、臼井不動産(株)入社(※ウスイホームの前身)店長職の傍ら新部門設立や支店開設等に携わる。その後、ウスイホーム(株)取締役を経て、2009年に代表取締役に就任。2019年からはウスイホームホールディングス(株)代表取締役も務め、神奈川県内不動産仲介業者で10年連続売上1位を実現した。(※国内大手信用調査会社調べ)
株式会社ハートグループ
ホールディングス
代表取締役社長 島崎 亮
東京都出身。幼少期を除き茅ヶ崎で育つ。1993年に地元不動産会社に入社。複数の企業で経験を積んだ後、(株)ハートグループホールディングスのグループ企業である(株)ハートランドに入社。売買営業部にて管理職を歴任後、(株)クローバーリビングの代表取締役に就任。2023年からは(株)ハートグループホールディングスの代表取締役も務め、今に至る。